体験記 ~あの笑顔をとり戻すまで~

白血病との出会い(2)

府立医大に着くと森本先生と主治医が待っており、すぐにマルクをされ、夜には病状説明、翌日から治療が始まった。

私は周囲の親が笑顔で過ごしているのを見て(子供が病気なのに、なぜ笑っている。おかしい)。

それに子供のベッドネームを見ては(なんで息子の名前があるの。誤診と違うんかな)と思っていた。

そんな現実から逃げていた私も病気を受け入れ、息子の治療も順調にすすみ、治療5クールのロイナーゼをしていた。

この治療が終われば初めての外泊と親子で楽しみにしていた。

 

平成14年2月、息子は朝から腹痛、嘔吐を繰り返していた。

採血は異常なし、レントゲンも異常なし、腸炎と診断され経過を見ていた。

しかし、状態は悪化。

マルクでも泣かない息子があまりの腹痛で泣き叫んでいる。

採血の結果アミラーゼ上昇、レントゲンはガス貯留。

その結果を見て、私にも診断がついた。

病名は急性膵炎によるイレウス(腸閉塞)。

私は看護師の仕事で重症膵炎の怖さを知っていた。

ほとんど亡くなっている事実、息子の重症度から死を覚悟した。

結局、この膵炎が息子の治療人生を狂わせ、6カ月の入院予定が1年4ヶ月まで入院生活を延ばす原因となった。

膵炎になり息子は10ヶ月絶食、膵炎の手術を2回受け、今でも彼のお腹には手術と胃瘻(胃にチューブを留置し、栄養剤を注入する)の傷が残っている。

ロイナーゼが使えない彼はオリジナルの治療で人の3倍近い入院期間を終え平成15年3月に退院した。