きょうだいとの関わり

子どもが病気になると、どうしても親はその患児本人ばかりに気持ちが向いてしまいます。

きょうだい児は我慢を強いられることもあり、辛い思いを秘めて過ごすことになります。

ここでは、入院時と退院後にどのようにきょうだい児に接したかの事例をあげています。

<きょうだい児が幼い場合>

事例1
普段は患児に付きっきりになるので、外泊時や退院後はきょうだい児を中心にするようにした。
また、きょうだい児の幼稚園や学校の行事の時は、付き添いを交代してもらって行事を優先するようにした。
事例2
母親を患児に取られたように感じているようだったので、親として患児もきょうだい児も両方大切であると言葉ではっきり伝えた。
そして、患児が病院で頑張っている様子も伝えるようにした。
事例3
退院後、患児がきょうだい児に親をとられたと感じたようだった。
しばらくの間、きょうだいの仲がしっくりいかなかった。
長く我慢してきたきょうだい児も、病院でつらい治療に耐えた患児も、両方がよく頑張ったことを認め合えるように、親として言葉がけを意識した。
事例4
患児への24時間の付き添いが必要だったため、きょうだい児は親のきょうだいの元へ預けた。
いとこもいるので楽しく過ごせるだろうと考えたが、実際は叔父叔母には遠慮があって甘えられず、いとこが親と楽しく過ごしているのを見ることにもなり、ストレスを抱え表情を失くしてしまった。
急きょ、祖父母の元に預けたことで、きょうだい児はリラックスし、祖父母に甘えることもできて落ち着きを取り戻した。
事例5
きょうだい児には、やりたいといった習い事はすべて体験させ、楽しいことを経験させることで気持ちを発散させた。

<きょうだい児が理解できる年齢の場合>

事例1
思春期で難しい年齢だったので、患児の病名などはあえて言わずにいた。
しかし、きょうだい児は状況がわからず、大変そうな親に聞く勇気もなく、心を持て余して荒れてしまった。
数年後に話した時、自分にも詳しいことを教えてほしかったと言われた。
事例2
もう高校生だったので、大変な状況をわかっているだろうと親が勝手に思い、きょうだい児は詳しいことを話さなかった。
きょうだい児は聞いてはいけないと思い込み、長い間不安と我慢を抱え込んでしまった。
事例3
すべてを話した。
いろいろ協力してくれて助かったが、我慢していたことも多かったのではと思う。
もっと感謝の言葉をかければよかった。

きょうだい児のことはどうしても後回しになってしまうことがあります。

きょうだい児も家族の状況を肌で感じ、我慢を重ねてしまうことが往々にあります。

でも、子どもはいつも親を求めています。

きょうだい児は、状況に遠慮して自分の気持ちを抑え込むことが多くなり、それが荒れた行動や反抗につながったりします。

きょうだい児と一緒にいられる時間が少ないからこそ、スキンシップやあたたかい言葉がけを意識して行った方がいいと思います。

また、きょうだい児が大きい場合は、その子の性格にもよりますが、現状をありのまま 伝える方がいい場合が多いと感じます。

自分だけが取り残されて何もわからない状況は、かえって子どもを苦しめます。

家族の一員として、ともに病気と闘ってくれるよう話すことが、親子間きょうだい間の距離を近づけることにもなります。

ただ、きょうだい児の気持ちも揺れ動くので、話をする機会や折にふれての言葉がけは必要です。

最近は、きょうだい児に関するイベントなどもあるので、同じ境遇の子ども達と接点をもつことも気持ちをさらけ出すいい機会になると思います。