体験記 ~あの笑顔をとり戻すまで~
あの時を振り返って(6)
入院して1ヶ月半程経った頃だろうか、私のストレスはかなり積もっていた。
娘には笑顔が増えていたが、同時に反抗期ならではの頑固さとわがままが目に余った。
子ども達のやり取りにも気を使った。
また、さながら合宿生活で、自分の時間は消灯後の数時間だけという日々。
狭い空間で気分転換もままならない。
些細なことで、娘に腹が立つ。
これではいけないと思いながらも、どうしようもなかった。
母が来てくれた日に、病院裏の鴨川に行き、メモ帳に心の内を書きなぐると、少しすっきりした。
2ヶ月目に初めて外泊の許可がでた。
私も娘も解放感に浸った。
この時の娘の笑顔は、入院以来最高のものだった。
私も今までのストレスがリセットされたように感じた。
これ以来、外泊が一番の楽しみであり、励みとなった。
部屋は4人から6人部屋へと移っていた。
ここで、娘と同じ年齢で同じ病気の女の子と一緒になった。
親同士、よく話すようになった。
不安なこと、疑問なこと、そして情報を交換し合った。
ちょうどこの頃、私は、漠然とむなしさを感じることがあった。
夫との感覚のズレだった。
発病当時は、この状況を一緒に乗り切ろうという同じ土俵に立っていたはず。
でも、入院生活が落ち着くにつれ、
「夫は、娘の大変さや私のつらさ・しんどさを、どこまで理解してくれているのだろうか」
そんなことを感じるようになっていた。
週に一度会えるか会えないかという状況のせいもあったと思う。
でも、毎日一緒に闘病している他のお母さんとしんどさを分かち合えたからこそ、私は孤独に陥らなくてすんだ。