体験記 ~あの笑顔をとり戻すまで~

白血病との出会い(6)

月日は流れ、平成22年夏に白血病は完治と言われ、現在、骨髄移植と2回の再発を乗り越え中学1年に成長した息子は外来通院している。

合併症である白質脳症、白内障は今も治らず、膵炎と右足の良性腫瘍は完治した。

 

私がこの10年間、治療と向き合う息子と一緒に闘いながら感じたのは、子供と言う理由で親が治療方針を決定するのではなく、治療を受ける本人に選択権があるということであった。

今思うと信じられないが、医師からの説明を3歳の息子に分かりやすく説明すれば、本人が治療を選択できた。

しかし、自分が親として子供を支えなければと悩み、強い不安が襲う時もあった。

主治医から

「親が子供を守るのではなく、息子の生命力についていけ。子供の進む道を変えることはできないから」

と話をされた。

病気と闘うのは息子であり、私にできるのは治療を受けやすい最大限の環境を作ることだと気づかされた言葉であった。