体験記 ~あの笑顔をとり戻すまで~
白血病との出会い(5)
平成16年10月外来受診の日、森本先生から電話が鳴る。
「お母さん、アカンわ・・・出てる。明日から入院やな」
私は
「再再発するなんて聞いてない。それに治療ないって言ってたやん。どうするの?」
と言うと、森本先生は
「治療は探すから、気をつけておいで」
翌日から3回目の入院生活が始まった。
その当時、私は治療のない息子の最期を看取るために付き添っていた。
でも、森本先生は治療を見つけてくれ、平成17年8月、小学1年の夏に退院した。
最後の説明の時、私は森本先生に
「何度も遭難しかけたのに信じられない、治してもらって、感謝している。だけど先生には悪いが、半年以内に再発すると思っている」
と言うと、森本先生は
「遭難しかけたけど遭難はしていない。それに自信がないなら、まず半年を目指そう。そして半年と積み重ねれば5年になる」
私は口下手な森本先生において、最高の名言と思っている。