体験記 ~あの笑顔をとり戻すまで~

白血病との出会い(1)

私の息子は3歳で白血病を発症し、その日から私は患者の母親であり専属看護師という二足のわらじをはくことになった。

 

息子は平成13年夏、鼻血をよく出していたので開業医で採血をした。

先生に「異常はないよ。白血病なんて、ならない、ならない」と笑い飛ばされた。

私達、家族は平穏な日々を過ごしていた。

七五三も無事に済み、冬になると息子は元気がなくなり、大好きな保育園を休みたがるようになった。

風邪がすっきりせず、夏に採血した開業医へ受診した。

先生は「黄疸が出てるね、あざも多いし採血をしよう」

私は息子を医療者の目で観察した。

「ん~言われてみれば、黄色やな。男の子はやんちゃだから、あざもできる。今度の休みに大きい病院で精査しよう。ああ、胆石で手術になったら大変や」

と呑気に構えていた。

 

翌日、出勤すると職場へ自宅から電話があった。

私の母が泣きながら「伊織が白血病だって、すぐに帰ってきて」と電話してきた。

すぐに病院へ行き、私は告知を受けた。

「息子さんは白血病です。治療は大学病院でするので、すぐに行ってください」

私は先生に「予後は、どれくらい」と尋ねた。

「お母さん、今は治る病気で、学校にも行くよ」の返辞に安堵した。

しかし、私達親子はとてつもない白血病に出会い、長い闘病生活の始まりの日であった。