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素敵な絵本と出会いました。

絵本の題名は「みんな ありがとう」中谷貴子 作品集

この絵本には、言葉は書かれていません。

どのページもすべて絵のみです。

作者の中谷貴子さんは、「口腔ガン」という聞きなれないガンと1年半戦い、2005年にこの世を去りました。

中谷さんは、手術の後遺症とガンの進行に苦しみながら、懸命に生きて力尽きました。

絵本の中には、病床で中谷さんが描き続けた小さな動物たちの絵がちりばめられています。

その絵の温かさに、「生死の境界線上にいる人間がこんなにもやさしい絵を描くことができるんだ」と驚かされます。

どの絵も、やわらかい光に照らされたような温かみのあふれる作品です。

中谷さんは病床で「私の絵で、病気で苦しむ人を少しでも慰めることができるなら、生きて絵を描きたい」という願いで、絵を描きました。

口の中のガンが進行し、話もできなくなり、やがて左目の視力を失ってしまってからは、絵を描くことさえもできなくなりました。

それでも中谷さんは、支えて下さった周りの方々に「みんな ありがとう」という感謝の気持ちを持ち続けました。

絵本のページをめくるたび、彼女の人となりが絵を通して伝わってきます。

この絵本は、中谷さんの死後、姉の藤田節子さんが感謝の気持ちを、亡き妹さんに代わって発表されたものです。

藤田さんは、「小動物の絵の中に、妹が生きている」とおっしゃいます。

この本の最後のあとがきには、姉である藤田節子さんの言葉で、こう書かれています。

「ガンが恐ろしい病気でなくなり、治療に苦しむことがなくなる時が早く訪れますように願ってやみません。」

きっとそんな日が来るでしょう。

中谷さん、天国で見守っていてください。

この絵本「みんな ありがとう」は、きらりん文庫に新しく入ります。

病棟のみなさんに、是非届けたい一冊です。